ARCHIVE  ENTRY  COMMENT  TRACKBACK  CATEGORY  RECOMMEND  LINK  PROFILE  OTHERS
<< January 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< ラボを始めた理由 その1  | main | 雲をつかむような、俳優の・・・。 / 講師 内田淳子 >>
2006.10.28 Saturday

アクターズラボの感想 /受講生 広田ゆうみ

ラボへ往くとき、私はどきどきしている。そして少し怖い。
ラボから帰るとき、私はわくわくしている。そしてやっぱり少し怖い。

所謂フリーの役者であり、それなりに長年やっているが、学校や劇団で学んだことはない。このような私にとって、ラボへ通うのは(えいっ、と決心は要ったが)たいそう有意義なことだと感じている。
舞台がない間も、所属がなくても、定期的・継続的に、演劇について学び、考えることができる。
舞台がなかろうがひとりだろうが怠けるんじゃないよ、というのもあるのだが、しかし、ひとりではできないこと、舞台と別にできること、は、やはりある。
ひとつの舞台をつくるときは、作品世界に向け本番に向け収斂してゆくが、ラボでは、それとまた違う修錬ができる(地口ではない)。そして、それをひとりではなく講座という形で学ぶことで、何というのか、風が入ってくる。

ラボに通いはじめて間もなく関わった舞台で、学んだことをやってみたら、今までよりずいぶん楽に(いい意味で)立てた。やってみたといっても、アップの方法ひとつである。それで、ほんとうに変わったのだ。私が如何に無策であったかということではない(いやあの、そういうことかもしれないが、ここでの要点ではない)。
他の方法を知る、ということだ。これは、「他の」にも「方法」にも力点がある。

「他の」ということ。
長年やっていると、よくもわるくも「自分の方法」というものができてくる。立つのは自分であり自分でしかないのだから、方法も自分で獲得していくほかないのだが、それはときに疲弊し、硬直してゆく。しかし、他の方法を学ぶことで、それを違う角度から見直すことができる。
学ぶと能く動けるようになるし、なるほどほんとにそうだ、と頷くことがたくさんある。わかることがたくさんある。そしてまた同時に、それぞれによって動きが違ってきたり、へえそうなのか、と驚くことがたくさんある。わからないことがたくさんある。
学ぶ――学(まね)ぶ。ひとにまねぶ。ひととまねぶ。まねぶと、そうなる。ひとはみな同じだから。まねぶけど、そうならない。ひとはみな違うから。
そのようなことを、感じる。考えるだけではなく、感じる。
そんな中で、「自分の方法」と「普遍的な方法」が止揚されてゆき、新たな、より豊かな、「自分の方法」が得られるのではないだろうか。

「方法」ということ。
ラボの案内ビラにもあるように、講師は現役で活躍されている方であり、実践的な方法――技術を教えてもらえる(宣伝みたいだけど、ほんとうです)。
そしてそれは、確実に役に立つ。具体的な技巧だけでなく、舞台に立つ力を与えてくれる。
俳優とは不安定な存在である。果たしてそこに立つことができるのか、常に問われ続ける。観客に問われるまでもない、自分自身の問いとして、それから逃れることはできない(臆病に過ぎるか? そうかもしれない。しかし、舞台に立つことは晒されることであり、それに対して少なくとも鈍感であってはならないと思う)。
問いながらも、舞台に立つ。ならば居場所は闘い取ってゆくしかない(他者と戦うということではない)。そのために必要なのは時間=稽古であり、また、技術である。時間は愚直に積み重ねていくほかないが、そのとき技術があればもっと自由に闘うことができる。
丸腰では闘えない。自由は放恣とは違う。
〈枷〉という言葉がある。手枷足枷の枷だ。あるとき辞書をみていたら、その意味の一に「演技を助けるもの」(「梅柳の立木を枷に両人宜しく立廻り」などと使う)とあった。
縛るもの/援けになるもの。より確かにそこに在るために。
ひとりの俳優が〈自由〉であるためには、技術という〈枷〉が必要なのではないだろうか。それを改めて学び取ることで、もっと〈自由〉に立てるようになれればと思う。

ラボは、どきどきして、わくわくして、そして少し怖い。
それは、風が入ってくるからなのだろう。
少しずつ、風通しがよくなって、帰ってこれるようになればいいなと思う。
願わくは。


広田さん 肖像
広田ゆうみ
俳優。別役実作品を上演するユニット〈小さなもうひとつの場所〉で活動する他、近年の出演作品に、「12」(山口茜 作・演出)、演劇計画2005「from DICTEE」(三浦基 演出)、正直者の会「円卓」(田中遊 作・演出)、ぶんげいマスターピース工房「コーカサスの白墨の輪」(B.ブレヒト 作・菊川徳之助 演出)
コメント
コメントする








 
この記事のトラックバックURL
トラックバック
Powered by
30days Album